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こんにちは
ピケル&ピケルム
です。

piqel&piqerm

イラスト・漫画・デザイン・書籍作成などをおこなっています。

INTRODUCTION

自己紹介

[piqel&piqerm]は、ましろと椿子のデザインユニットです。イラスト・漫画・書籍デザインなどで活動しています。

[piqel&piqerm]の名付け親は、劇団おぼんろ主宰の末原拓馬さん。
オンラインサロン[monogatalina(モノガタリナ)]をきっかけに、この名前を素敵な物語りと一緒にプレゼントしていただきました。

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物語り

story

ピケルとピケルム


 
夢の世界の小さな妖精たちで、誰もが一度は夢で出会っている。
人間が美味しいものの夢を見ると、その夢の中に勝手に現れて、ご相伴に預かってお茶会(ピキーティーパーティー)を始める。
食いしんぼうな彼らだが話すのがとても上手で、美味しいもののお礼に悩み事を解決してくれたり、様々なアイデアをくれる。
彼らに振る舞われたグシュムグ茶のせいで、夢主はなかなか目覚めることができず寝坊をしてしまうことが多いが、目覚めると様々な問題が解決していることが多い。歴史を動かした偉人がその偉大な功績を残した前夜や、芸術家が素晴らしい作品を思いついた前夜、彼らが夢に出ていることがとても多い。

住居:不定。常に誰かの夢から夢へ旅をしている

好物:甘いもの



 
ピキーティーパーティー:他人の夢の中で繰り広げるピキーたちのお茶会。
 
ピケルとピケルムだけが製法を知っている特別なお茶(グシュムグの花と実を原料とする)を飲みながら、夢に現れたお菓子を食べる。
ピケルとピケルムは、時に自分の友達なんかを読んで大騒ぎをする。
ちなみに、グシュムグには催眠効果があり、夢の中で飲めば飲むほど夢の主は目覚めなくなる(お茶会が長く続けられる)。
副作用として飲んだ後はピケルとピケルムのことを忘れてしまうらしい。
 


歴史:過去に、目覚めても彼らのことを忘れていなかった人間が何人かいたことが、いくつかの文献に記されている。例えば、18世紀に活躍したイギリスの詩人ジョルジュ・ルートレックの発言について、彼の友人である新聞記者はコラムにこう書いている。
以下引用
「ある朝、ジョルジュが突然私の家を訪れてきた。手には寄稿を依頼していた散文詩を入れた封筒があった。中身に入っていた詩を見ると、才能豊かな彼にしてもとりわけ素晴らしい作品だった。締切を10日も過ぎていたが、それを差し引いてもとにかく彼を賞賛したくなる出来だった。
スランプ気味だと言っていた彼なのに、これはすごいじゃないか!と私がいうと、彼は不思議なことを話し始めた。なんでも、昨晩、夢の中で小さな2人の妖精が現れたという。妖精たちはジョルジュの夢の中のお菓子を勝手に食べ始めた。持参したお茶をしきりに勧めてきたが、ジョルジュは我々も知っている通り、大のお茶嫌いである。丁重に断ったらしい。
妖精は「えー、んー、そっか。ま、それならそれでいいんだけど、でも・・・このケーキ食べてもいい?」と尋ねてきたので「いいよ」というと大喜びで再びお菓子を食べ始めたそうだ。そして、「どうしたの?そんなにため息ついて」とジョルジュに話しかけてきた。かわいそうにジョルジュは夢の中でも詩作に悩んで、くたびれていたのである。妖精に話してもなあ、と思いながら、早く妖精に立ち去って欲しかったこともあり、彼は事情を話すことにした。。私からの依頼である詩が、一向に完成していないこと、前作の評判がよかったために、そのプレッシャーが重圧となっていること、恋人とうまくいっていないことで集中力に欠けること、集中力に欠けて仕事がうまくいかないことで、さらに恋人に嫌われていく気がしていること、などなど。2人の妖精はそれを(お菓子を食べながら)ウンウン、とうなづいて聞いていた。口下手なジョルジュが出会ったばかりの妖精にそんな打ち明け話をしただなんて!と私は笑ったが、「どういうわけだか、とっても話しやすかったんだ。彼らに話しながら、自分でも自分の悩みがなんであるのか初めてわかったような気がした」とジョルジュは言った。
「2人はピケルとピケルムという名前だった。2人は僕の話を聞き終わると、色々な話を聞かせてくれた。世界中の詩にも詳しく、僕が知らないこともたくさん知っていた。それに、なんというか、突拍子も無い考え方を持っているというか、子供のような自由さを持っていた・・・いや、老人のように厳かな世界観を持っていたようにも思う。とにかく、僕もたくさん喋った。随分と長いこと話していた気がするけれど、いつしか夢の中が夜になった。それはそれは綺麗な星空の夜だったのだけれど、その頃にはもう、僕の頭の中にこの詩は出来上がっていた。2人の妖精は、去っていった。そして、僕は目覚めてすぐに、紙にこの詩を書き付けたのさ」・・・ジョルジュの話は面白かった。
彼は「だからこの詩は、僕が創ったというより、ピケルとピケルムが創ったというところもあるんだ」と申し訳なさそうに付け加えた。
私としては、新聞に掲載する詩ができればその過程はどうでもいい。私たちは近くのカフェで食事をとることにした。そのあいだじゅう、ジョルジュは嬉しそうに2人の妖精について話し続けたのだった。
(引用終わり)


他にも、世界各国でピケルとピケルムと夢で遭遇したという情報は散見される。チベットの女流画家ウェン・スーチンも似たような話をし、夢の記憶を頼りにピケルとピケルムの姿を絵に描いて周囲の人間に見せた。
驚くべきことに、その絵を見たほとんどの人間が「私もこの2人に会ったことがある」と発言したという。残念なことにこの絵は現存していないが、夢から醒めるときに忘れてしまっているだけで、多くの人間がピケルとピケルムに出会っているのではないか、と言われている。
 


 
世界のあちこちでこの妖精に夢で会ったという言説が残っているため、彼らの実在を信じる人間も多い。
現在、この妖精たちについて様々な噂が残っているが、ジョルジュやウェンのように、夢から記憶を持ち帰ることが出来た人間たちが夢の中でピケルとピケルムから聞いた話をつなぎ合わせたものである。
2人の性別や年齢など、諸説あり、人によって証言が食い違うこともあるが、証言者の記憶違いなのか、もしくは夢の中でピケルとピケルムが適当なことを言っていたのかは定かでない。
 


作品に行き詰まった芸術家の中にはピケルとピケルムを夢に読んで相談をしたいと思う者も多く、積極的に甘いものの夢をみる努力をすることもあるという。
(作:末原拓馬 初出:Monogatalina)